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外国人のための無料健康相談Free Health Consultation

西山先生のコラム

西山先生のコラム

1. 放射線障害について  掲載号数: No. 315 (2011年9・10月)


記録破りの地震と、それに続く津波が日本列島の北東部を襲いました。かって、どんなことがあっても壊れないと信じられてきた核施設がこの世の終わりのような天災で破壊されています。残念なことに、荒れ果てた核プラントの修復もなかなかはかどりません。

放射線への人体の被曝はできるだけ少なく、またその蓄積効果を考えて、できるだけ短時間である必要があります。

しかしながら、私たちは天然の、または産業や医療目的の少量の放射線に絶えず曝されています。普通の人であれば、年間 3ミリシーベルトの自然界の放射線、それにもう 3ミリシーベルトの医学用などの放射線を浴びています。適切な注意を払えば、放射線を使った医学検査も安全に受けることができます。

一度に全身に 6 シーベルトの被ばくを受けると人は助かりません。その放射線量は、通常の人が1年間に受ける量の1000倍に相当します。

一方、がんの放射線治療のように、放射線を体の1ケ所に集中させ、また、何回かに分けて照射すれば、もっと大量の放射線に耐えることができます。

現在関心が集まっているのは、原子力発電所からあまり遠くない地域での、むしろ少量の放射線の長期的影響です。これに似た過去の歴史では広島―長崎の原爆投下、スリーマイル島やチェルノブイリの事故について、世界中で詳しい研究がなされています。それでも、今日、少量放射線の長期的影響を予言することは困難です。しかも不幸なことに、これらの事件に関わる報告や意見は、報告者の立場や政治的理由によって大きく異なります。沢山の小児の甲状腺がんがチェルノブイル地区で報告されている一方、日本では原子爆弾によるがんや先天障害の発生率の増加はごくわずかなものとされています。

結論としては、放射線の長期作用として、がんや先天障害や様々な病気は確かに起こり得るものではあるものの、一般に恐れられているほど高率なものではなさそうです。一地域の放射線量として公式に発表されるものが信用に値するものであれば、即ち、マイクロシーベルトレベルの小さなものであれば、大部分の住民は穏やかに生産的に暮らせるはずなのです。


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2. 病院機能評価について  掲載号数: No. 309 (2010年9・10月)


Q.自分や家族の具合が悪くなった時、「どの病院に行ったらいいのか、どの医者に見せたらいいのか」と迷うことがあります。
A.病院の技量や看護の質を客観的に評価し、優劣を決めるのは困難です。というのも、ある問題については医師個人の職人的な技がものを云う場合があり、また別の問題ではナースの体制など、病院の総合的な信頼性が優先される場合があります。現在は、ある疾患については外科手術の例数こそが病院の信頼性の証とされています。しかし、他方では、有名な経験の深い医師が、少ない手術数でも専門分野に特化した中小病院で活躍していることもあります。治療の結果が良いというのは勿論重要な、高い信頼を示す指標になりますが、これだけでは病院はリスクを伴う症例を避けて、うまく行く例だけを集める風潮を生みます。このように、単純には比較や評価ができないのです。


Q.病院の看板や広告で「病院機能評価機構認定病院」というタイトルをよく目にしますが、これはどういうものでしょうか?
A.「病院機能評価機構」は、最近、権威ある評価のためと称して設置された機関です。この認定を受けるためには、病院の“理念”に始まり、診療行為や管理その他、あらゆる項目について細かく定められた手順を、全てクリアしなければなりません。例えば、診療行為については、計画・実施・評価・反省などの段階ごとに、関係したメンバーによる各種の委員会や会議と討論による認可と決定が前提となります。これらの診療行為の手順は医療現場ではとても大切なものなので、専門資格のスタッフは通常は瞬時に、殆ど無意識のうちに実行するよう訓練されています。認定がなくとももともときちんとしていた病院が殆どですので、皆さんが病院を選ばれるにあたって、機構の認定というタイトルにこだわり過ぎなくてもよいと思います。


Q.やはり病院の診療レベルを評価することは難しいのですね。
A.管理をきちんとしようとするあまり、患者の安全など、守るべきは何か、という原点が忘れられてしまうと、本末転倒です。物事は形式がきちんと出来てさえいれば完璧に進むとは限りません。病院の診療レベルに何らかの評価が必要なことは論を俟ちませんが、形式への過度な執着は、人間にストレスを与え、しばしば逆の結果を招くという点にも配慮が必要ではないでしょうか。ストレスに引きつった医療現場より、和やかな環境の方がはるかに事故も少なく、患者の満足度も高いはずです。日本の医学会が、国民がよい医師や優しい看護師に出会える場所であり続ける評価制度を創る努力をすることを期待します。


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3. AIDSとHIV感染  掲載号数: No. 306 (2010年4月)

過去20年来、AIDSは致命的な、もしくは少なくとも人生を台無しにする病気として恐れてきています。AIDS,即ち後天性免疫不全症候群は、HIV,ヒト免疫不全症ウイルス感染の結果として知られています。このウイルスはレトロウイルスという一群に属していて、感染して急には症状を起こしません。そのかわり、このウイルスはある種のリンパ球や免疫担当細胞の中で増殖し、結果として免疫機能を破壊してしまいます。細胞性免疫も体液性免疫もなくなっては、ヒトは抵抗力を失い、様々なウイルスや細菌の感染症を起こしたり、またいろいろな悪性腫瘍を起こしてきます。世界中で精力的に研究が進められているにも関わらず、感染したウイルスを取り除く対策はまだ見つかっていません。現在、世界中では3300万人の感染者がいると推計され、さらに悪いことには感染は日に日に拡大しています。

つい最近まで、ことに先進国においてはHIV感染は同性愛者や薬物中毒患者など、一種のサブカルチュアの世界の事と思われていました。しかし、ごく普通の常識や教養を備えた人達が輸血や、血液製剤の注射で思いがけず感染していることがあります。以前、血液製剤は、血友病による重い出血傾向の治療のために用いられました。今日では、通常、あまり見かけないカポシ肉腫やニュウモチスティス カリニ肺炎は勿論、通常の感染症でも不自然に繰り返したりする場合はAIDSやHIV感染の可能性を考えます。

HIVは母親から赤ちゃんに出産の時に、また母乳を介して垂直に感染します。先進国では注意深い処置で赤ちゃんを感染から救うことが出来ますが、アフリカなど、発展途上国ではこれは期待困難です。赤ちゃんは生まれるなりHIVに感染してしまいます。こうして、感染の治療を始める人の何百倍もの新しい患者が発生しています。貧困や自然災害、民族対立などなど、あらゆる災難は貧しい人たちから最新の医療を受ける機会を奪い、赤ちゃんは感染から守られていません。このまま感染の拡大が続けばアフリカの人たちはどうなってしまうのでしょう?

HIVはもともとアフリカのジャングルの猿が持っていたと考えられています。これに感染したゴリラはAIDSを起こすのでしょうか?専門家はこれに懐疑的です。では何故われわれ人類が?おそらく遺伝子の違いが病像を違ったものにしているのでしょう。過去にアフリカのジャングルに住む人たちは猿の肉をよく調理しないで食していました。今日でもこういった生活をする人たちはいます。時間とともにウイルスは変化し、人から人へと感染するようになったのでしょう。

このウイルス感染から症状が出るまではゆっくりとしています。何ともなく、一見、健康な”ウインドウ“と呼ばれる時期が10年近く続きます。その間、ある種のリンパ球、CD4は感染によって破壊されてゆきますが、ウイルス増殖がリンパ球の補給を上回ったとき、AIDSが本格化してきます。このため、CD4リンパ球数を見る事が病勢の時期や予後を検討するのに大切になります。HIV感染の可能性のある相手との性的接触の後、寝汗や体重減少などがみられると感染を強く疑います。日本ではHIVの検査は近くの保健所で匿名で無料で受けることができます。感染してすぐは何の症状も出ませんが、6週間もすると血液中にウイルス成分に対する抗体が証明されます。感染が強く疑われる場合は結果通知を待たずにすぐに治療を始めるべきです。治療方法については、CD4リンパ球の数によって細胞性免疫の強度を見ながら決めて行きます。CD4リンパ球の数が少ないほどAIDSは進展していると考えられます。

今日、薬の進歩のおかげでAIDS患者もずいぶん元気に過ごせるようになりました。レトロウイルスに対する薬とは、ウイルス独自の増殖のための酵素に対する抑制剤ですが、AIDSそのものの進行をある程度遅らせることは可能です。もっとも、それらの薬はウイルスを体内から駆逐するものではありませんし、あまり大きな期待をしてはいけません。薬は急に効かなくなったり、人によっては強い副作用が出て使えなくなることもあります。現在、AIDSの治療といえるものは、偶発的な感染症をおさえること、悪性腫瘍そのものへの治療、そして対症療法と栄養改善で、少しでも長く元気で生存させることが主眼になっています。他のウイルスなら予防ワクチンがありますが、HIVではたえず抗原性が変わり、ワクチンの製造が困難だといわれています。さらにまた、これらの薬剤は先進国の患者にとっても決して安価なものではなく、ましてや貧しい人たちに手の届くものではありません。

HIV感染を避ける唯一、最善の方法は、危険を伴う性的接触を避けることですが、コンドームの使用も比較的安価でパートナー双方の感染の機会を少なくします。HIVの恐さについて衛生教育が、特に若い人たちに必要です。今や、世界的に大きな問題ですが、ちょうど地球温暖化の問題と同様に、その解決には一人ひとりの感染予防についての理解と努力にかかっています。


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4. ペットからうつる病気について  掲載号数: No. 296 (2009年6月)

ペットのいる生活は私達に限りない慰めを与えてくれます。しかし、ペットへの接し方、管理の仕方によっては思いがけない病気をもらうこともあります。人と動物に共通に病気を起こすものには、細菌やウイルスは勿論の事、寄生虫や原虫があります。その頻度は決して大きいものではありませんが、ペットが大好きな幼い子供達、妊産婦、また、抵抗力の低下した人達には少し注意を促す必要があります。

ペットから直接うつるという場合もありますが、ペットや家畜を飼っているために外部から野生のねずみなどが入り込むために彼等から、また、彼等に寄生するノミやダニから病気をもらう場合が多いようです。野生の動物はどんなに小さく可愛らしいものでも家庭で飼ってはなりません。

また、ペットや家畜がきれいで健康だからといっても注意は必要です。ペットの毛や皮膚には直接、間接的にその排泄物が付着していることがあります。排泄物、特に糞は、多彩な細菌や寄生虫卵などの病原体を含みます。爬虫類や両生類、さらには魚類でさえ、その湿った皮膚は様々な病原体に汚染されています。子供たちはよく触りたがりますが、そのままの手で飲食すると胃腸炎を発症します。ペットの世話の後は石鹸を使って流水でよく手洗いを、これこそが第一の予防法です。

病気の多くは、始めはカゼや単純な胃腸炎に似ますが、長引いたり他の症状が出て来て医者はあわてます。診察の始めに動物を飼っていることを医者に申告すれば、ある程度可能性を絞り込む事ができ、早期に対策がとれます。病原体が直接見つかることもあり、また、血清反応で検出できます。

まず、一般的に云えば、ペットであれ家畜であれ、哺乳動物の糞からは、カンピロバクターやサルモネラによる急性胃腸炎があります。クリプトスポリヂウムという原虫も飲み水を介して人から人へと広がり、激しい下痢症の大流行になることがあります。鳥の糞には髄膜炎を起こすクリプトコッカスというカビが含まれています。また、たとえ健康そうな鳥からも、オーム病の原因となるクラミヂアという細菌が潜んでいます。前記のように、蛇や亀、カエルやトカゲの皮膚にはサルモネラ菌が多数付着しています。

その中で、いくつか大切なものについて簡単に話してみましょう。

狂犬病。日本ではすでに撲滅されたことになっていますが、正規ルート以外で輸入されたペットが既に感染しているかもしれません。 長い潜伏期の後に発症することもあります。外国で動物に咬まれた人の帰国後の発症の記録があります。狂犬病はウイルスによる脳炎で、発症すれば免疫グロブリンや現代の集中医療でも救命できません。外国に旅行する場合は必ず予防注射を射ちましょう。先進国においても、野生のアライグマなど、可愛らしく人懐こい動物でも危険なのです。万一咬まれたら石鹸と流水で傷口をよく洗い流し、その動物を観察して狂犬病の有無を確かめる必要があります。ペットの犬には必ず予防注射をしましょう。動物に咬まれるということは死につながることさえあることを再認識する必要があります。

トキソプラズマ。猫に寄生しているトキソプラズマという原虫の卵が猫の糞に排出されます。子供の遊ぶ砂場に猫が糞をするために子供の手が汚染され、病原体が口から入ります。猫を可愛がりすぎても、排泄物が周りに付着していると同様に感染します。症状は発熱やリンパ節が腫れるなど、よくある伝染性単核球症に似ています。通常は数ケ月の経過で治るのですが、免疫力の低下した妊婦の場合、胎児に影響して死産を起こしたり、生まれた子供の脳障害や失明の原因となることがあります。若い女性はトキソプラズマ抗体を調べておくことが望まれます。何よりの予防策として、放し飼いの猫の多い日本では子供の砂場は網で囲って猫が入れないようにすることです。

ツラレミア。野兎病ともいわれます。ねずみやウサギについているダニに刺されると急激に発熱や頭痛を起こします。刺された所が潰瘍になり、周囲のリンパ節が腫れます。細菌による感染症なのですが、もし、エロゾルにしたものは人から人に空気感染するために、生物兵器になり得ると警戒されています。

Q熱。もともと家畜のもっているコクシエラというリケッチアが原因で、乾いた糞は、一見元気な動物からのものでも大量の病原体を含み、これから空気感染します。発熱や頭痛から、重症例では肺炎や時に心内膜炎を起こすことがあります。ペットのプレーリードッグからの感染では、慢性疲労症候群に似た疲労感や意欲低下が長期に続き、本人もそれがペットからの病気と気付かないほどです。

オーム病。オームやインコの糞からのクラミヂアという細菌が、抵抗力の弱い高齢者などにひどい場合は肺炎や心内膜炎を起こすことがあります。病気の鳥は勿論、健康そうな鳥でも病原体を持っていますから注意が必要です。

猫掻き病。猫に掻かれた後、頸部や腋のリンパ節が腫れます。猫のノミの駆除が予防になります。

パストレラ症。犬や猫などの咬み傷がひどく腫れ、発熱やリンパ節腫脹を起こします。糞から飛散する病原体を吸うと、もともと肺に問題のある人には重い肺炎を起こすことがあります。

この他にも、長期に何となく体調を崩すブルセラ症や、様々な症状を引き起こす寄生虫症があります。

感染を予防するには、排泄物の清掃など、ペットの環境を清潔に保つ必要があります。また、可愛がるあまり、口移しの食事やキス、人と共用の食器の使用、一緒に寝るといったことを避けるべきです。あくまでもペットは動物なのだ、という醒めた態度が望まれます。しかし、理性の歯止めを設けたのでは、一体、それを愛と呼べるでしょうか?


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5. 代替医療について  掲載号数: No. 292 (2009年2月)

近代医学は主に西洋で発達し、人類に大きな恩恵をもたらして来ています。西洋医学は細胞病理や分子生物学に基礎を置いています。臨床の場では統計学的に有効で安全と証明された方法のみが使われますが、それでこそ価値があり、また信頼に耐えるものなのです。

さて、そのような近代医学といえども決して万能ではなく、それだけでは治せない病気は少なくありません。癌を例にとって見ましょう。今日の標準的な医学では、外科手術、放射線や化学療法でがん細胞を根絶しようとしますが、苦痛を伴うことも多く、またそれが成功するという保証もありません。また、医師や看護婦は病気を身体現象として捉えることはしても、患者の心理や全人格に目を向ける余裕はなかなかありません。

現代医学のそういった側面への不満もあって、多くの人々は何か別の方法を求めるものです。そして、医者が施行するのではない様々な民間療法に目を向けるようになりました。 ずっと古い時代からアラビア、インド、中国を始め世界各地に、また多くの民族には彼ら特有の治療法が存在して来ました。それらの幾つかは真面目に研究されていますが、中には民俗信仰としか言えないものもあります。それらの中で中国の伝統医学、針灸術、インドのアーユルヴェーダやアメリカのホメオパシー等はある程度系統的に出来上がっています。それらの知識や手法が標準化されるにつれ、また、施術者への教育が確立されるに従い、多くの人々、とりわけ欧米の知識階級の支持を得るようになって来ました。この他にも、世界中の民俗的な薬草による治療、食物によるもの、カイロプラクティックのように体に触れて体を矯正したりするもの、また、中には殆ど信仰に近い精神的な治療法があり、それぞれが治療効果を謳っていますし、実際、経験的な証拠もあります。これらの方法を全て含めて、標準的な治療に対し、補完医療や代替医療と呼んでいます。殆どの場合、人々はこれらの方法を標準的な現代医療と組み合わせて利用しているようです。

何故今日、このような、時に神秘的な医療が私達の関心を引くのでしょうか?主な理由の一つは上記のように、現代医学にも限界があることでしょう。同時にまた、現代では以前にもまして心と体の相関関係が関心を呼ぶようになっています。たとえば明るい笑いが人を肉体的にも精神的にも健康にするということは以前から知られています。実際、心身の快適さというものが免疫機能を高め、病気を予防するということが最新の科学的手法でも証明されています。人々が代替医療や補完医療といった“未承認医療”だけに頼っているわけではありませんが、それらにいくらかの利点も見出しています。ただ、それらの治療効果が本物なのか、気のせいであるのかを証明した人はまだ無いに等しいです。散発的に見かける成功談はつまる所、寓話的に過ぎませんが、それが何であれ、いくらかでも治療効果があるならば、すくなくとも一方法として評価すべきでしょう。信仰の場合と同様、 感覚的な世界のことには科学的に真偽を確かめるという方法が応用できそうにありません。

一部の専門家は代替医療の有効性についてなお懐疑的です。その理由として、それらの方法は科学的根拠を欠くか、または証明困難なこと、さらにその有効性や長期短期の副作用についてもっと統計学的にも検討されるべきだというのです。世界の未開発地域では地域の習慣や呪術がなお医療の主流を担っている所もありますが、それは同時に衛生知識の普及の妨げとなっている場合もあります。さらにまた、軽い医学的問題がそれらの方法で解決したからといって重大な問題にも効果を期待するのは危険でもあります。

それでもなお、もし代替医療のどれかがあまり酷(ひど)くない方法で心の平安と、ともかくも活動できる体を約束してくれるというのであれば試してみないという法はありません。 代替医療に対する政府の対応は国ごとに違いますが、多くの政府や研究機関は、その研究や教育に多額の予算を割くようになって来ています。

近い将来、西洋医学と古い東洋医学や他の伝統的な医学が、より安全で、そしてより人間の心を大切にするものに統合されて行くでしょう。病気の克服という言葉が必ずしも病態の消失を意味しなくとも、機能する肉体と満ち足りた精神を提供できれば、それこそが全人的医療の名にふさわしいものと言えるでしょう。


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6. がんを早く見つけるには  掲載号数: No. 289 (2008年11月)

死亡原因の上位を占めるがんには高い関心が集まります。がんがどうして出来るか、については多くの研究がなされています。しかし、研究が進むほどに、がんの本態はいよいよ複雑で解り難いままになっています。その一方で、がんの検査や治療法の進歩は目覚しく、もはや、がんでなくなることはないかのような幻想を抱かせます。

がんは、ともかく早期に見つけることが一番大事で、早期であれば生存のチャンスは大きくなります。しかし、早期のがんでは何の症状も兆候もなく、血液の検査でも異常は見られません。これでは殆ど偶然でしか発見できない、と言っても過言ではないでしょう。

そこに定期的な検診の意味があります。もし、ひとつの検査でどんながんでも見つけることが出来たら、あれこれと不必要な検査を受けなくてもいいのですが、残念ながら今のところ、そういった効率のよい方法はありません。腫瘍マーカーを血液で調べるにしても、腫瘍がある大きさになるまではなかなか数値が上がって来ません。PET検査ががん発見に万能との期待があります。確かに全身像の中に微小ながんを描き出すことが出来、また、苦痛も伴わない検査なのですが、胃がんや大腸がんといった主要ながんではしばしば陰性に出るのです。

となると、頻度の高い、また、可能性の高いがんから逐一調べて行くことになります。日本では頻度の高いがんとして、胃癌、肺癌、大腸がんが男女両性に、また、女性では乳がん、子宮頸がんがあります。どの検査法を選ぶかは、どこに出来る癌を探すかによります。必ずしも高価な検査法がいいわけではありません。

がんの発見には画像診断がなお主流で、この分野の発展には眼を見張らせるものがあります。検査費用の安いものから順に、単純X線検査、超音波診断、内視鏡検査、CTスキャン、MRI,そしてPETがあります。CTスキャンもPETも放射線を使った検査で、その濫用には放射線障害や発ガンなどの副作用があるとの批判もありますが、鮮明で説得力ある画像が得られるメリットはマイナス面を上回ります。

上の検査法の中でも超音波検査は体の表面から深い所までいろいろな臓器の検査に適しています。たとえば、肝臓、胆嚢、膵臓、尿路、甲状腺や乳腺などのがん探しに最も威力を発揮します。しかも無害で費用も安いのです。ただ、太った人には限度がありますが。 単純X線検査では肺や骨のがんは見過ごされることがあります。この場合はCTスキャンやMRIがそれぞれ検出します。MRIは脳や婦人科領域など、画像が呼吸運動に影響されない部位でのがん探しに特に適しています。

胃、腸などの消化管のがん探しには内視鏡が最も適しています。観察だけでなく、小さい組織片を採って病理検査までやることができます。以前は内視鏡を飲み込むのは一種、拷問に例えられるほど苦しいものでしたが、最近では細い、鼻から入れる機種が開発されて、検査もずいぶん楽になりました。

日本では町の小さなクリニックでも立派な機器を揃えています。内視鏡については世界随一です。勿論、正確な診断のためには良い画像を得ること、それに経験を積んだ読影医の眼が必要です。今日ではインターネットにより、遠く離れた所にいる専門医に画像を送って読んでもらうこともできます。診断と、治療法に適切な助言が即座に返ってきます。

がんには成長の速いものと遅いものとがあります。ごくおおまかに言えば、速いものとして肺癌、膵癌、食道がんや白血病などがあり、遅いものとしては胃癌や大腸がんがあります。勿論、例外を言えばきりがありませんが。多くの場合、成長の速いがんでは、痛み、咳、発熱、出血、しこりを触れるなど、何らかの症状が出て来ますから、その時点で病院に行けば必要な検査が出来ます。

肝炎ウイルスに感染した人のように、がんの発生が予想されるという場合を除いて、健康な人の定期的ながん検診は次のようなスケジュールでやることをお勧めします。もっともこれは専門学会が認めたものでもなく、統計学的な証拠に基づいたものでもありません。この分野に長年関わった筆者の経験から編み出したものですが、現実に即したものとしてうなずけるものと信じます。

年一回の胸部X線と腹部エコー。胃、大腸の内視鏡検査はそれぞれ2-3年に一回。乳腺や甲状腺のエコーもほぼ同じ間隔で。毎年の検診には腫瘍マーカーも。PETはその費用やがん発見の限界を考えると、付加的情報源として3年に一度でいいでしょう。

そうしていながらすでに手遅れのがんですって? それはきっとあなたが行いの良い、選ばれた人物で、神様が早く近くに召されたいと思われたのでしょう。


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7. 救急医療はどうなっているのか  掲載号数: No. 285 (2008年7月)

救急車のサイレンの音を聞くたびに、誰しも怪我をした人や急病人を思い浮かべ、一分も早く病院に着いて必要な処置がなされることを願います。今日、次々と新しい治療法や薬剤が開発されていて、その恩恵には大きな期待がよせられます。しかし、その一方では救急患者の受け入れ拒否がしばしば報道されます。一体、病院や医療関係者の使命感はどうなっているのでしょう?

医療界に入って来る人の殆どは採算など考えることもなく、純粋な使命感から患者のために役立ちたいと願う人達ばかりです。では何故、救急患者のたらい廻しが起こるのか。突き詰めて言えば、一方では医療費削減による財政的圧迫と、他方ではそれとは逆に、当然のことではありますが、より高いレベルの医療を求めるという相矛盾する国の制度にあります。

公的な健康保険で全てをまかなおうとする時、無制限な出費はあり得ません。しかし、患者を守る良い医療を提供するには莫大な費用がかかります。ましてや教育や研究までするとなると。この、実際にかかる大きなコストと病院に支払われる報酬が逆転すれば病院は立ち行かなくなります。倒産か、そうでなくとも経営努力として赤字となる部分を切り捨てて行かざるを得ません。その赤字要因の最たるものが救急医療と高齢者医療なのです。

よく、無駄な医療という言葉を見聞きします。もしも高齢者など、もはや社会への貢献が期待できない例については医療資源を費やすのは無駄だと言うのであれば医療費は節約できます。まさか一国の政府がそこまではっきり言うわけもありませんが、明言こそしないでも、制度の上では明確にそうなっているのです。それならそれで、ある程度の医療を守ることは出来ます。たとえ経営が苦しくとも、使命感に支えられてやって行こうとする病院は沢山あるはずです。

ところがここに、上とは全く相反するきれいごとが同時に求められます。国民には最善の医療を提供しなければならない、と。専門医や万全の人的体制、設備などを持たないならば手を出すべきではない、というのも真実ではあります。しかし、お金もなくてはこんな立派な病院はどこにも存在しないことになります。これまでは理想とまでは行かずとも、ある程度は出来ていた医療がここで根こそぎ無くなってしまいました。何処も引き受ける所がなくなりました。さらには、たとえ善意から引き受けたものであっても、医療の結果が望まぬものになった場合は訴訟に発展するばかりか、警察さえ刑事事件としての立件に躍起になるという今日です。日本は本音と建前の二面構造社会です。行政も縦割りで、役所ごとに違った要求をしますからこういった不都合が生じるのです。

信じられない現実ですが、心優しい病院は制度上、収入も少なく、従って職員の待遇は勿論、環境や設備にかけるお金もなく、評価の低い病院へと向かい、やがては消滅します。 お役所から見た良い病院とは、患者へのお世話よりも、膨大な書類作成、各種の委員会、それにマニュアルを揃えている所になります。マスコミは医療界の出来事を個々の病院や職員の資質の問題として報道するだけで、制度の生み出す問題に言及することはありません。

もはや善意や使命感だけでは病院はやって行けません。病院を存続させたい、訴訟や刑事告訴を避けたいと思うなら、唯一の安全策は何もしないことなのです。これが今日の一般的風潮になって来ています。救急患者受け入れ拒否は、その病院の使命感の問題よりも、行政の二面性や、より良くなることを期待したはずのマスコミの姿勢がかえって引き起こしたものです。出生率の低下や高齢者の増加による人口構造の変化は年金や保険制度を根底から覆してきています。私たち、国民も政府に不平を並べるだけでなく、この現実に即した新しい制度を考えて行かなければなりません。


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8. ウイルス性胃腸炎について  掲載号数: No. 282 (2008年4月)

寒い季節にも、いわゆる食中毒は発生します。多くはウイルスによるもので、カゼの症状とともに嘔吐や下痢を伴います。感冒性胃腸炎と呼び、アデノウイルスが主な原因となります。インフルエンザでも同様のことがありますが、この場合は高熱が主でしょう。

最近はロタウイルスやノロウイルスの名が一般にも知られるようになりました。どちらも良く似た冬季の突然の水様下痢と嘔吐を起こします。ロタウイルスは乳幼児を主に、ノロウイルスは全年齢層を侵します。ここではノロウイルスの話をしましょう。

ノロウイルスという名は、1968年の米国、オハイオ州ノルウォークでの嘔吐下痢症の大発生にちなんでいます。牡蠣などの二枚貝が汚染されていたり、また、一旦発生すると人から人へと、その排泄物や嘔吐物から感染します。潜伏期は1-2日と短く、特に多数が一緒に生活する施設などでは患者が大発生することがあります。幸い、普段健康な人の場合は3-4日以内に収まってきますが、抵抗力の弱い人、幼児や高齢者では脱水や二次的な細菌感染などで重症化することがあります。特別な治療薬はなく、もっぱら脱水を防ぐための水分補給が第一となります。失っただけの水分を口から飲めればよいのですが、飲めばまた吐き気や下痢が起こります。こういう場合は病院で点滴注射という便利な方法があります。少しずつでも飲むことが出来るなら、ただの水よりも、少しブドウ糖と食塩が入っていた方が腸からの吸収が良いと考えられています。といって、決して濃いものを与えてはいけません。ほんの僅かがいいのです。このウイルスに限らず、発展途上国の乳幼児の死亡率が高いのは、多くの場合、脱水の治療がうまく行かないためです。高度の脱水はすべての臓器の機能を失わせてしまいます。

さて、一人でも発症があると、その拡大を防ぐことが大切になります。下痢便や嘔吐物の処理は勿論、付着した可能性のある衣服その他、全てを厳重に消毒する必要があります。このウイルスには、アルコールや洗剤は無効といわれています。塩素系の漂白剤が使われます。勿論、素手ではできません。できれば使い捨てのビニール手袋を着けましょう。

台所ではできるだけ熱を加えた食材を、また、調理道具や食器も加熱消毒して乾燥したものを使いましょう。嘔吐物や便が乾燥して、その中のウイルスが飛散することもあります。それが手に付いて、何かの機会に口から入る可能性もあります。このため、老人施設などではトイレットは勿論のこと、階段の手すりや椅子、テーブルなど、全てを薄めた漂白剤で消毒しています。入所者を守るためには当然とはいえ、たいへんな労力を要します。

どんなに名の通った店の新鮮な牡蠣も、ウイルスが潜んでいるかどうかはわかりません。 本来、生で食べられるくらい新鮮なのですからお店を責めるわけには行きません。冬の味覚、生でこその価値、でもウイルスは恐いし。どうしましょう、このジレンマを。


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9. 新型インフルエンザの流行について  掲載号数: No. 280 (2008年2月)

地球温暖化が危惧される今日、局地的にはかえって極寒となる所もあると聞きます。 九州は、それほど気温が下がることはないのですが、寒さへの備えが充実していないだけ、北国から来た人にはかえって寒く感じられることでしょう。

ここ数年、冬が来る毎に新型インフルエンザの恐怖が報道されます。新型インフルエンザとは、本来、鳥のインフルエンザが人に感染して、しかもそれが人から人へとうつる場合をさします。それは起こり難いという意見もある一方、ウイルスは変異しやすいと考えられていますから、鳥のウイルスが人を含めた他の動物に感染し、さらに人同士で感染して行くことはいつでも起こり得ることです。養鶏場の鶏が数十万羽という単位でインフルエンザに罹って死んだりする話を聞きます。同様のことがもし、人間で起これば、これは仮定の話ですが、信じられないくらいの数の犠牲者が出るかもしれません。

ワクチンでの予防に期待したいのですが、新しく登場するウイルスの型や抗原が不明ではワクチンを作ることすら出来ません。それが出来るのは、いったん流行が始まり、ウイルスが分離されてからになります。流行の第一波は無防備で迎えることになります。第二波以降は新しいワクチンである程度食い止めることが出来ます。

大流行に際しては、それだけでも社会や生産活動の大きな混乱が予想されますが、その拡大を防ぐために、必要となれば個人の行動や移動が制限されたり、限りある医療資源を誰に優先的に振り向けるか、など、個人の権利が尊重されている先進国においては、かって経験したことのない苦しい決断が求められます。

インフルエンザの予防、治療薬は既にありますし、大流行に備えて備蓄もされていいます。新たに開発も続けられています。効果はある程度期待できるのですが、昨年初め、それによる副作用かもしれないという異常行動の報告が出て来て、使うのをためらうという意見もあります。しかし、万が一の大流行のもとで、大多数を救う利益を優先するならば使うことにもなるでしょう。ここでも政府は苦しい、重大な決定を下さなければならなくなります。

大流行がないように、と祈るしかない現状ですが、昔からの予防策は今でも意味があります。すなわち、出来るだけ人混みを避け、睡眠と栄養を十分に摂り、外出から帰ったら手洗い、うがいを励行しましょう。マスクの使用もある程度の予防効果はあるはずです。 2月は一番寒い月。あまり明るい話題もありませんが、自分で出来るだけの予防をして無事に元気に明るい春を向かえましょう。


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西山先生のコラム

10. 年末年始 暴飲暴食に気をつけよう  掲載号数: No. 278 (2007年12月)

寒くなると、外で体を動かすことが少なくなり、楽しみといっては、つい、食べることばかりになってしまいます。世界の中で、おいしいものを腹いっぱい食べることのできる国はわずかで、その幸せを思わずにはいられません。 医学が関与する食べすぎには3つあります。第一の単純なものとしては、食べ過ぎての急性胃腸炎があります。歳をとれば分別もついて、食べ過ぎることも少なくなりますから、やはり若い人たちに多い問題です。それでも国が豊かになり、生活の中で食べることの比重が小さくなったのか、以前よりは少なくなっています。胃が膨らみすぎて動かなくなると自動的に吐き気が起こって内容を外に出すことになります。

いっそ吐いてしまうのが一番理にかない、また早い解決になるのですが、現代人には荒っぽい治療と思われてしまいます。また、胃の中には本来、強い酸があって、殺菌作用もあるのですが、食べ過ぎてはその酸も薄められて細菌などの繁殖を招き、食中毒を起こしやすくなります。

第二の問題としては、前回お話した、肥満にかかわる食べすぎがあります。肥えた人の胃はむしろ小さく横向きになっていて、食べる傍から内容は腸へと送り出され、いつまでも胃がふくらみません。満腹しないからますます沢山食べます。逆に、やせた人は胃が下腹部まで垂れ下がっていて、少し食べると胃は部分的にも膨れて、もう満腹感を感じて食べなくなってしまいます。だから、なかなか肥えないのです。

病院などで、量も決まった低カロリー食を出すと、はじめは皆、量的にも内容的にも不満ですが、やがて、これでいいや、と思うようになります。家庭でもそれが続けばいいのですが、多くは元の食生活に逆戻りして、結果、メタボリック症候群とか言われるようになってしまいます。いわゆる健康食がもっと工夫されて美味しく楽しくたべられるようになればいいですね。

第三の問題としては、難しい、摂食異常というものがあります。極端にやせたり、また逆に無茶苦茶に食べてしまうというもので、本人もそのことを恥じたりして悩みながらも、なかなか一人で解決は難しいものです。これには特別の経験を積んだ心理カウンセラーや医療技術者がチームで対処する必要があります。食べること、また、逆に食べなくてやせることに執着しなくて済むような、別の生き甲斐や関心を持ってくれたらいいのですが。

日本の冬はこたつでみかん。兄弟での語らい。よい文化だと思います。でも、世界には何億人もの食べ物のない人たちがいることに思いをはせて、食べ物を大切にしましょう。


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西山先生のコラム

11. あなたもメタボリック症候群? 掲載号数: No. 277 (2007年11月)

メタボリック症候群という言葉は、もはや医療関係者だけの流行語に止まらず、多くの、とりわけ中年の男性にも知れ渡っています。その定義についてはレインボーの先月号で、市の健康増進教室の案内の中でふれてあります。

メタボリック症候群の診断基準は学派により、また人種によりさまざまですが、肥満と、それに伴うインシュリン抵抗性が最大の要素となります。平たく言えば、後に挙げる四つの不健康なサインのうち、三つ以上があれば、その人が将来、心臓発作や脳梗塞を起こす可能性が他の人達よりもうんと大きくなります。その要素とは、体重過多、すなわち内臓脂肪の蓄積、高血圧、高血糖、すなわちインシュリン抵抗性とII型糖尿病、それに高脂血症として顕われる悪玉コレステロールの血中増加などがあります。日本だけでも2000万人のメタボリック症候群とその予備軍がいると言われています。中でも、糖尿病の合併があると一番悪い結果をもたらすといいます。

こういう人達は、検査データさえ見なかったら、正常な人達よりかえって元気です、だから自分の健康管理にあまり真剣にならないのです。アジア人やヒスパニックは肥えると白人よりもメタボリック症候群になりやすいと言われています。アジア人は生来、粗食に暮らすように出来ているのです。生活のあり方を変えればいいということは皆、知っています。しかしそれは、現代の複雑化した社会生活の中では現実、困難を伴います。

それでも体重減らしに良いことは今日からでも始めましょう。バランスのとれた適度の栄養摂取や散歩など。そう言えば、雑誌タイムに最近、いい言葉が載っていました。少し体重が減っただけでも、大きな効果がある。たいして減ったようには見えなくとも、また、感じなくとも、体全体の健康にはすごくいいことなのだ、と。そうなのです。早々にあきらめなくとも、ヤケにならずとも、たゆまず続けることが大切なのです。そうすればこれからは健康に生きて行くことが出来ます。


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12. 夏バテと上手に付き合おう  掲載号数: No. 275 (2007年9月)

百獣の王、ライオンも、昼間の暑い時間帯は狩をするどころか、木陰でだらしなく寝そべっています。東南アジアのジャングルは、正午過ぎからのしばらくは、虫も鳥も、活動を中止するため、ひっそりと静まり返るといいます。

湿度の高い日本の夏の暑さは、慣れてはいても相当こたえます。今では至るところ空調が効いていますから、その限りでは快適に過ごせますが、自然への適応力という面ではずいぶんと弱体化しているでしょう。職業によっては、こんな暑さの中でも屋外で重作業に従事しなければならないことも多いものです。海辺に遊ぶ服装ならまだしも、危険防止には厚く全身を覆う装備になり、汗も体温も発散できません。このために、前回お話した、恐ろしい熱中症に陥る人が多いのです。

夏バテとは、誰でも経験する、暑さによる体のだるさ、食欲不振などをいいます。寝苦しくて睡眠不足になれば、体はもっと動かなくなるでしょう。動かないのに体が消耗するとは?実は体は体温を調節するために筋肉や血管を弛緩させますから、動きは鈍くなりますし、汗をかくには、それなりにエネルギーも使っているのです。アメリカの軍事医学ではよく研究がなされていて、ある程度の対処法が考え出されています。東南アジアの密林地帯、中東の炎熱の砂漠地帯―――、快適な母国の文明生活からいきなり戦地へ送られ、敵部隊だけでなく、過酷な自然とも戦うことを強いられるわけですから。こればかりは妙案があるわけではありませんが、十分な休息、早めにこれまた十分な水分の摂取、また、食欲不振に対しては、パスタなどの軽い食事が勧められています。

半世紀前まで、日本人は、男はすぐはだかになる、と揶揄されていました。あるSF小説では、襲ってきた疫病に対し、はだかで暮らす日本人は災厄を逃れた、とか書いていたくらいです。はだかはともかく、蒸し暑い日本できちんとスーツにネクタイというのは無理があります。幸い、最近では、エネルギー節約の見地からクールビズなどといった少しでも涼しい服装が取り入れられてきました。体を壊さない最善の方法は自然の要求に逆らわないことです。ビジネスの場ではなかなかそうも行きませんが、許される限りだらしなくしていることです。百獣の王でさえそうしているのですから。秋が近まればまた自然と体は締まってきますから、頑張って、失った時間を取り戻しましょう。


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13. 熱中症に注意  掲載号数: No. 274 (2007年8月)

熱中症は、体温が高くなりすぎると起こる。体内の水分が足りないと、体温調節もできなくなり、状況を悪化させる。涼しいところで休めば治る軽いものから、生命に関わる重症のものまである。自分で暑さへの対策がとれない幼児、老人、衰弱者、ある種の薬物常用者などは、予期せずして容易に熱中症に陥りやすい。気温の高い日の行事への参加者にはよく見られる。アスリートに比べて体調管理に慣れていないアマチュアに危険が大きい。体表面の温度よりも、体内の温度が40℃とはるかに高くなることがあり、生命維持のための体内のいろんなバランスに破綻を来たす。炎天下の自動車の中に幼児を置き去りにして親が遊ぶなど、日本以外では考えられない事件がよく起こるのは恥ずかしいことだ。

程度が軽い場合は木影で着衣を脱いで風に当たり、水分を十分摂る。汗が出ている間はむしろ安心であるが、汗も出ず、手足の筋肉がこわばったり、意識や行動がおかしくなったりするような場合は重症で、迅速に手当てが必要となる。ともかくも急いで体を冷やす。水でも氷でも体にかけながら扇風機などで風を当てる。飲めるのであれば十分な水分を補給する。汗も出尽くして、体内の塩分も足りなくなっているので、スポーツ飲料が勧められる。アルコールやコーヒーはかえって脱水を助長するので良くない。塩分を含まない水だけでは、一層電解質のバランスが崩れ、より重症化することもある。これらの手当てを続けながら病院に救急搬送したほうがよい。氷枕で体全体を冷やしながら、大量の電解質輸液を行う。日頃、炎天下の屋外作業に慣れているはずの人でも近年は熱中症で救急搬送される例が増えてきている。治療が遅れたり、不適切だったりすると、元気な若者でさえも横紋筋融解やそれにつぐ腎不全で命を落とすことがある。

気温、湿度ともに高い日の行事に参加する場合は、日頃の自身や我慢を捨てて、早めに涼み、また、十分に水分を補給しましょう。


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14.食中毒とその予防について  掲載号数: No. 273 (2007年7月)

夏は気温、湿度、ともに高く、食中毒の発生しやすい季節です。一口に食中毒と言ってもその原因、症状の強さ等はさまざまです。多くは下痢や嘔吐が2,3日続いても、自然に治ってしまいます。しかし、抵抗力のない人や、原因となった細菌によっては脱水だけでなく、腎臓障害を起こして生命に関わることもありますから、やはり用心が必要です。

原因は飲食物を汚染していたウイルスや細菌が主なもので、飲食してから発症までの時間や症状により、おおまかに見当をつけることができます。しかし、最近では海外で感染していたり、輸入食品が汚染されたりしていて、日本の医療関係者にもなじみの薄い病原体が関与していることもあります。暴飲暴食が引き金になりやすいのは、大量の胃内容のために、本来、殺菌力のある胃酸が薄められるためと言われています。

下痢、嘔吐、腹痛などを起こした時、食中毒を疑うわけですが、ひどくなければお茶やスポーツ飲料で十分に水分を補います。食べる元気があれば、脂肪分の少ないさっぱりしたものを摂ります。血液が便に混じっていたり、発熱する時は本格的な食中毒として、早めに病院を受診して下さい。さまざまな理由から、抗菌剤や痛み止めは不用意には使いません。昔からある単純な整腸剤が無難です。

予防の鉄則は、眼に見えなくともそこらじゅうに病原体がいるものと考えて、まず十分な手洗いの励行、食器や調理器具をよく洗って乾燥させること、そして極力、熱で十分調理したものを食べるようにすることです。冷蔵庫でさえも、全く安心というわけには行きません。昔の生活の知恵こそが食中毒の予防原則にかなっています。


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15. 五月病について  掲載号数: No. 271 (2007年5月)

日本では、五月病という言葉が定着しています。さわやかな新緑の季節なのに、何となく気持ちが優れない事をさします。もともと木の芽どきと言って、木々が芽を吹く頃に心身のバランスが崩れることは知られていました。春、四月に進学したり、新社会人になった。若い人にとっては、ちょうど一月が経ったことになります。毎日が新しい経験だった、オリエンテーションも終わるころ、少しは新生活に慣れてきたものの、疲れを意識するようになります。 長く、たいへんだった受験勉強や就職活動への反動もあります。抱いてきた夢と、目の前の現実に違いを見出して戸惑うこともあります。それやこれやで憂鬱になってしまうのが五月病です。外国では、新学期は九月が多いのしょうか。似たようなことはあると思いますが、秋では条件が違いましょうか。

程度の差こそあれ、誰にでもあることです。多くは、新しい現実に適応して行けるものです。引きこもらずに友達と大いに語り、折角のいい季節ですから、戸外のいろんな行事に積極的に参加してみてください。そんな気にもなれないという場合にはカウンセリングも役立つかもしれません。


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16. 花粉症  掲載号数: No. 268 (2007年2月)

おだやかなお天気、瑞々しく咲く花、皆、春の到来を楽しみにしています。しかし、一部の人にとっては辛く憂鬱な花粉症が起こる季節でもあります。

花粉症とは何ですか?風邪とは違うものですか?
枯草熱は花粉アレルギーと同義です。空中の花粉などのアレルゲンに対して過剰に、または誤って体が反応するために起こります。すべての生物由来、または化学物質が原因になり得ますが、日本でよく知られているのは杉花粉です。普通の風邪とは違い、日本名カフンショーでは絶えず鼻水が出て眼もかゆくなり、しかも毎年この季節中にこれが繰り返しおこります。

日本の、ここ福岡でも花粉症を起こす季節がありますか?
福岡エリアでは、2月初旬から4月にかけて、とくに暖かく乾燥して風の強い日に沢山の人がくしゃみや鼻水、まぶたの腫れに悩まされます。

どうしたら予防できますか?
予防のためにはできる限りアレルゲンとの接触を避けることです。風の強い日は外出を控える、マスクをかける、窓を閉める、などです。空気清浄器も役立つかもしれません。 食生活など、ライフスタイルを変えるのは直ちには治すことにならないでしょう。
しかし、下記のことは心にとめておきましょう。昔、我々の生活がもっと貧しく、不衛生的であった時代には、アトピーやアレルギー関連の病気は少なかったのです。

なってしまったらどうしましょう?
軽いものであれば薬局にいろんな抗アレルギー薬を売っています。眠気が来るものが多いです。ステロイドの入った点鼻スプレーは便利でよく効きますが、医者の処方が要ります。

国民保健を持っています。どんな治療を受けることができますか?
費用はどのくらいかかるでしょうか?

最初に病院にかかった時に、いくつかの内服薬と点鼻スプレーをもらって約、2000円 はかかるでしょう。脱感作のような、より高度の治療は重症例に限られます。


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17. インフルエンザについて  掲載号数: No. 266 (2006年12月)

インフルエンザとは何ですか?
毎年、冬も終わりがけにインフルエンザが日本中に流行します。その症状は、重い風邪に似ていますが、多くは少し休むだけで、1週間以内に自然に治ります。

風邪とはどうちがうのですか?
急激に起こってくることに違いがあります。39度以上の高熱、筋肉痛、頭痛、全身倦怠感、のどの痛みに咳、時には下痢、嘔吐を伴うこともあります。インフルエンザそのものや合併症から高齢者や幼児、それに体力の弱った人では死ぬことさえあります。

どうしたら予防できるでしょうか?
まず十分な休養と栄養を。うがいや手洗いは単純ながらよい予防法です。外出時にマスクをかけるのも、鼻やのどを適度な湿度に保ち、他の人からのウイルスの侵入を防ぎます。 予防接種もたいへん効果的です。予想されたウイルス株から作られたワクチンは、ほとんどの病院や診療所で一回1500円から4000円で射つことができます。
インフルエンザの季節をカバーするには11月と12月半ばの2回射つのがもっとも効果的ですが、1回だけでも十分でしょう。

かかってしまったらどうしたらいいでしょう?
暖かく、湿度もある部屋でゆっくり休み、十分な水分を摂ることが一番です。風邪薬を使って構いませんが、アセトアミノフェン以外の鎮痛解熱剤は避けてください。水分を摂ることさえ出来なければ病院で点滴注射を受けなければなりません。抗インフルエンザ薬のタミフルは、早期に使えばよく効きます。


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